完全自動運転の技術は、早ければ2020年の完成が報じられているが、実施に当たっては法規制を含む受け入れ態勢の難しさがあると言われている。
自動運転に関する論理的な問題の代表が、「トロッコ問題」である。「トロッコ問題」とは、制御が不可能となったトロッコの先に5人の作業員がいる。このままでは5人を轢いてしまうが、手前の分岐器を使えば、路線を変更することができるが、その先にも1人の作業員がいる。この場合、あなたならどうしますか、という問題である。
この問題に対して、メルセデス・ベンツ社が回答をしている。(以下引用)

メルセデス担当者、クリストフ・フォン・ヒューゴ氏
「自動運転技術は新しいものですが、この道徳的ジレンマは古くからよくあるものです。自動運転車が道路に飛び出してきた子供を認識するもブレーキをかける時間はない。横に回避すれば、対向車を走るトラックに正面衝突するか崖に落ちて搭乗者が死ぬとかの類ですね。

子供を救うべきか、搭乗者を救うべきかー。メルセデス・ベンツが今後販売する全てのレベル4/レベル5の自動運転車は、搭乗者を助けることを優先します」

ここで想定している状況であれば、僕もこの意見に賛成である。ところで、この問題は様々なバリエーションを想定することができる。例えば、
直進すれば車道上の5人を轢くことになるが、歩道側にハンドルを切れば、歩道を歩いている一人を轢くことになる。この場合はどうするか。
あるいは、さらに追加して、歩道と反対側にハンドルを切れば、崖から落ちて搭乗者が死ぬことになるが、五人の人も歩道の一人も助かるとしたらどうであろうか。
答えを考える前に、一つ確認しておくことがある。それは、今回の想定は、自動運転を行う際に、いろいろな状況を想定してあらかじめコンピューターに指示を与えるということである。僕たちが運転をしていて、突然上記の様な状況に遭遇して、どのように対応するかという事ではない。
こういった問題では、万人が納得する答えを得ることは非常に困難であると思うが、僕の答えは車が直進する事である。
理由は、いくつかあるが、その一つは、メルセデス・ベンツ社が言うように、搭乗者の命が優先されることにある。そこで、崖からの転落を選択することはない。次に目の前の5人か歩道の一人かどちらを選ぶかという事であるが、僕は歩道ではなく、5人を選択すべきであると思う。その利用は、搭乗者の命が優先される事と同様に、歩行者の命も優先されるべきだと思う。どのような状況を想定しようとも、歩道を歩いている歩行者が事故に巻き込まれる選択肢は作るべきではないだろう。歩道の安全性の優位は確保されるべきである。車が滑った等の不可抗力は別として、歩行者を巻き込んでリスクを小さくする考え方は考えられない。
自動運転の実施により、法律も様々な面を想定し整備される事になるだろうが、その一つは、車道への飛び出しがあるのではないだろうか。つまり、車の前への急な飛び出しによる事故の責任は飛び出した人側の責任となる。周囲を察知するレーダーとそれに対応するブレーキ機能によっても止められない状況では、車側には非はないという考え方である。
自動運転を実施するにあたって、クリアにすべく論理的な面があると思うが、それらは個々の自動車メーカーが決めるのではなく、共通の問題として取り上げるべきである。そして、その考え方は広く周知されるべきである。