自動運転化の技術は、最近ニュース等でもよく話題に上がっている。販売されている車両にもすでに自動運転の技術が実装されている。しかし、現在装備されている自動運転の技術は、運転を補助することが目的で、完全自動化はまだ少し先である。

自動車メーカ―だけでなく、多くの企業が完全自動運転技術の開発に取り組んでいる。早ければ、2020年には技術は完成するとの報道もある。法的整備等も含め、遅くとも2020年代には実用化されるとの予測である。

完全自動運転の技術は、社会を一変するに違いない。それは単に、タクシーやバスから運転手を無くしたり、高齢者の買物弱者問題を解決するだけではない。

少子高齢化社会の中、人口減少を想定した街づくりが検討され、実施されている。現在の新しい街造りの基本コンセプトはコンパクトシティである。コンパクトシティという考え方は、とても理解しやすい。駅などを中心に、病院やスーパー、庁舎などの必要な諸施設を集約し、あわせて住民もこの地域に居住する事で、手軽に様々なサービスを受けることを可能とする。住民にとっては、これまでの郊外にまで広がった生活環境の中では、高齢化にも関わらず車を利用した生活を余儀なくされ、手放すことが生活上困難であり、また、自治体においては、大きく広がった住宅地域へのサービスの提供は、経済的にも大きな負担となることが予想され、コンパクトシティ化は効率の良いサービスの提供が可能となる。

コンパクトシティ化の実現のために、各自治体では、諸施設の集約化のための建築物の構築や、中心部への移動手段の提供のための新たなインフラ設備が作られている。複合型商業施設を中心とした青森市やLRTを導入した富山市などがあげられる。

ところで、新たな移動手段を提供するためのシステムとして完全自動運転を中心にした街づくりはあまり検討されていないように思う。

自動運転化による新しい街造りは、新たなインフラ設備を必要とせず、現在の状況を生かしたまま、計画することができる。そのため、将来においても、臨機応変に対応することが可能で、自由度が高い点もメリットの一つである。

今から、およそ30年後には、人口は現在の1億2,700万人から1億人を割れ込むと予想されている。現在の8割である。この人口を一つの基礎とし、現在の街の中心(ショッピングモールや駅、あるいは主要産業等)を核とした、都市モデルをシュミレーションすることが必要である。

新しい街がコンパクトシティであろうが、自動運転を基盤とした街であろうが、それは住民がどのように手軽にサービスを得ることができるかの面を重視した街の形である。当然考えなければいけないのは、個々が持つサービスをどのように提供できるかである。つまり働き場所、産業があるかどうかである。どのような形態の街を創ろうとも、働く場所がなければ人口は減少を続けるであろう。

政府は、各地方において新しい産業をおこし、街を活性化する事を奨励している。人口減少社会において、地域の生産性を向上することで国全体の経済の発展を図ることは当然である。それぞれの地域が、どのような産業を興すかは模索している状況であるが、自動運転による街造りは、地域全体の空間を対象にすることができるため、前述したように非常に自由度が高いと考える。

完全自動運転を取り入れた街づくりは、もっと積極的に検討されるべきである。